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犬夜叉 一重梅ノ栞

第9章 一瞬の間



「……櫻子ッ!! 上だ!!!」


 思いがけない殺生丸の怒声が飛ぶ。はっと我に返った櫻子は、顔を上げるといつの間にかかまいたちから這い出た三鬼が大きな大剣を持って襲い掛かる。勢いのまま、三鬼が大剣を振り下ろした。


「死にやがれ玉依姫ッ……!!」


 一歩反応が遅れたものの、転がる様に櫻子はその場から離れる。しかし僅かな斬撃が櫻子の肩を掠めた。


「い……っ!!」


 声にならない声を上げながら、櫻子は地に転がる。乱れた髪も気に留めず、ぐっと力をこめなんとか身体を起こす。しかし右肩に激痛が走り、片方の手で傷口を抑えた。


「はぁ……どうして……私の、かまいたちを……」

「どうして? ああ、それでお前は俺を殺ったつもりでいたのか? そりゃ傑作だ!! お前はまだまだその刀を使いこなせていない」

「……っ」

「お前にはまだ、刀で斬ることへの覚悟が足りねぇんだよっ!!」

「ぐっ……!」


 三鬼の手が、櫻子の首を掴み上げた。右肩の痛みのせいで、抵抗が出来ない。それでも気力だけで、なんとか刀を手離さんと握り続けている。


「その刀を渡せ」

「お断りしますっ……!」

「なら、死ね」

「……っ!!」


 ぐっと、力が込められる。首を締め上げられながら、それでも櫻子は三鬼を必死で睨み刀を落とす様子もない。その強気な眼差しと態度が気に入らないのか、更に首を締め上げる力を強める。

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