第13章 イビツなカタチ
『明日なんだけど。
その後仕事あってマネージャーが迎えに来ることになってるから、こっちに来てもらえるかな。』
櫻井くんの部屋は、何回目だろう。
ほとんどはホテルだけれど、たまにこういうことがある。
夕暮れにはまだ早い明るい時間、都内の高層マンションのエントランスで部屋番号を呼び出す。
数秒待つと、無言の返事と共に、ドアが開く。
エレベーターで上階に上がり、チン、と目指す階に到着したことを知らせる音が鳴る。
エレベーターを降り、静かな廊下を歩く。
部屋に辿り着く。廊下に人影はない。
重厚そうな顔したドアの前で小さく息を吐き出す。
同時に体の奥が小さく疼く。
・・・・・・・・・結局こうなんだ、私。
呼び鈴を鳴らして、来たことを告げる。
そして、開錠されているドアの中へと入る。