第5章 自問自答のカタチ
言われたままに、上階のバーへと移動した。
生まれてこの方味わったことがないくらいドキドキしながら。
鼓動が皮膚を動かすのが見えるんじゃないかと思うくらい、ドキドキしてる。
他の人にその音が聞こえるんじゃないかと心配になる。
(あそこで帰るべきだった?)
でも心の中の邪な気持ちが、私を言われたバーへと向かわせた。
(だって、翔くんだよ?)
(ここで帰ったら、もう二度と話することなんてないんだよ?)
本当に翔くんがバーに来るのかは分からなかったけど、自分から可能性の芽を摘む選択肢は選べない。
あざとい私が、そこにいた。