第4章 一線の向こうのカタチ
ホテルの1室。
私ここに何でいるんだろう。
私ここで何してるんだろう。
ブランデーが零れ広がり、滲んだような色と空気の空間。
衣擦れの音と呼吸の音だけがさざめく。
私の目の前には、一糸纏わない裸体の翔くんがいる。
私と繋がっている翔くんが、荒い呼吸と共に私を揺らし続ける。
あまりに現実離れした状況は、理性のタガを外す。
いつもの私より、感じ方が激しい。 全身が敏感になってる。
反応が大胆になる。
アルコールの影響と。
非現実な光景と。
何より、目の前にいる翔くんが。
脳を惑わす。
これ、私の頭の中の妄想なんじゃないの?
ありえないと思いつつ、行っちゃいけない場所に足を踏み入れたと思うと、尚更に体の芯が熱を帯びる。