第1章 愛を歌おう
怒ってる。
いや、怒ってる訳じゃないか。
静かに機嫌が悪い。
普段と変わらないようにしてるみたいだけど、絶対機嫌悪い。
理由は・・・・・・・さっきの?
まさか、マジであれ?
ウソだろー?
あんなことで??
機嫌悪くなっちゃうワケ???
―――マジか(苦笑)
ものすごく久しぶりに会えた。
もう、本当に本当に久しぶりに。
軽く1か月半くらい空いた。
それは彼の仕事のせいだけじゃなく、私の都合も合わなくて、結果これだけ空いてしまったんだけど。
クリスマスだって、仮にお互い時間が空いてたとしても会えるわけはなかったし。
彼の誕生日だって、向こうが仕事だったし。
そういう日に何が何でも一緒にいたい、って思うようなタイプでもないから、そのこと自体に不満がある訳じゃないんだけど。
でも。
ずっと会いたかったから。
クリスマスとか、誕生日とか、そんなの関係なく。
ただ会いたかったから。
直に触れたかったから。
電話やメールだけでなくって。
だから、つい口にしちゃったんだよね。
「手、ちょっとだけ繋いでもいい?」
って。
外で絶対の絶対にそういうことしないし、したくない人ってのは重々承知してるよ。
でも、「ちょっとだけ」って付けたよ?
ほんの一瞬だけでよかったのに。
あの時、何だかその手に触れたいな、って思ったから。
なのにさ。
「無理。」
って。
どうよ?それ。
怒るというよりも、ひたすら悲しい。
それで気が塞いでると思われるのも癪だから、何でもないフリしてるけど。
大人げないのは分かってるけど。