第2章 冷え始める季節
「・・・何かあった?」
「、へ?」
「朝から何かソワソワしてない?」
いよいよやって来た、例の約束の土曜日。いつも通りの朝を迎えて、いつも通り午前のみの授業を受けて、そして今。帰りのバスの中で、左隣りから物凄い圧を受けてます。
「別に何もないよ」
「嘘だ、絶対何かある!」
「ないって・・・」
麻乃の疑いの眼差しからなかなか逃げられそうにない。だからといって、今回のことは特に話すことでもないと思っているので首を振る。
だって別に特別なことでも何でもない、きっとどこにあってもおかしくない話。公園で小さい子と遊ぶ、ただそれだけのこと。
「じゃあ、何でそんなソワソワしてるのよ」
ジトーっと私に視線を送る麻乃。確かに少し緊張はしてるけど、そんなに落ち着きない・・・?その後も何度も問い詰められたが、何も答えることがない私はひたすら何でもないと首を横に振り続けた。
バスが駅前に着いて完全に不貞腐れた麻乃と別れると、私は人の流れに逆らうように元来た道を戻る。
(ちょっと早かったかな?)
公園に入ってすぐの時計を確認すると、約束の時刻より少し早く着いたようだった。土曜日なので、公園はこの間よりも賑わっていて、私が先日座っていたベンチももちろん空いていない。どこで待っていればいいのだろう、とキョロキョロしていた時
「とも〜!」
公園の入り口から、聞き覚えのある声が私を呼んだ。そして私に向かって走ってくるのは、今回私が約束していた人物。
「こんにちは、陽太」
「うん!こんにちは!」
「あはは、元気だね!」
そしてもう1人。
「どうも、こんにちは」
「あ・・・こ、こんにちは・・・」
彼のお兄さん。私は相変わらず絶賛人見知り中。そんな私に、先日同様さっそく含み笑いを浮かべる彼。
今日も余裕綽々ですね。