第8章 まさかの展開
あれから暫く経ったある日の午後、私は貰ったばかりの封筒を片手に急ぎ足で校門に向かっていた。彼氏と帰るという麻乃と別れて門を出たと同時に、プップッ!という突然響いたクラクション。
(な、何!?)
タイミングがタイミングなだけにビックリして、音のする方に顔を向けると
「とも!」
「・・・えっ、琇さん!?」
目線の先には、運転席からヒラヒラとこちらに手を振る琇の姿。私は周りの視線から逃れるように彼の車に駆け寄った。
「ど、どうしてここに・・・?」
「お迎え」
「・・・お迎え?」
「話は後。皆見てるよ」
ほら乗って、と彼に促されて車に乗り込む。助手席に座ったものだから、周りの目をどれだけ集めていたかを嫌でも実感した。恥ずかしがる私をおかしそうに笑った琇は、私がシートベルトを着用したのを確認するなりすぐに車を出してくれた。
「・・・で、どうしてお迎え?」
学校から離れ、赤信号で停車してから本題を切り出す。そんな私にフッと笑うと、彼は前を向いたまま私の手元を指さした。
「合格、おめでとう」
「、へ?・・・え、てか、何で知って・・・」
「功から聞いたんだよ、今日合格発表だって。それに、合格したって顔に書いてあるしね(笑)。この後待ち合わせしてるんでしょ」
同い年で受験生の功平とは進路のことで連絡をとることも多い。特に私の受験については功平にお世話になったので、合否発表日に結果報告をするという約束をしていたのだ。
ちなみに功平は、一昨日合格発表だった。
「この迎えは功に頼まれたんだ。合格者は放課後残るよう、さっき急に言われたからって」
「でも、私には何の連絡も来てないよ?」
「うん、ともに言っても、どうせ帰らないでずっと待ってるだろうからって」
「そんなこと・・・」
「あるでしょ」
「・・・・・・」
功平と琇にここまで私の性格を知られているなんて、恥ずかしい上に悔しい。
「とも、」
「何?」
「顔に出てる(笑)」
「・・・・・・」
ほら、兄弟揃って同じこと言う。どうやらムスッとした顔になっていたようで、スネないスネない、と彼に宥められたが、返って更に悔しくなる。
「とりあえず家に行こう。功もその内帰って来るから」
最近分かってきたことがある。彼は案外、意地悪だ。