第5章 触れる温かい輪
青年3人に少年と赤ちゃん。この5人と私はどういう関係なんだ・・・という沢山の好奇の目がこちらに向いている。いくらクラスメイトと言っても特別仲がいいという訳でもないし、そうであろうとなかろうとこの状況は焦る。
「く、来るなら来るって言ってくれれば・・・」
「行くって言ったら、お前絶対来るなって言うでしょ」
・・・・・・図星。だってこんな風になるのは想像がついてたし、何をどう説明すればいいのかも分からない。それなのに結局こうなってしまったのだから、この後誰かしらに聞かれることになるのだろう。後のことに頭を痛める私をそっちのけに、功平と悠介は私のクラスの出し物である屋台でたこ焼きを買っていた。
気持ちを切り替え、ずっと私の脚にしがみついて離れない彼の頭を撫でる。
「陽太、風邪治って良かったねー!」
「うん!もうげんき!」
「そっか、陽太は強いね。偉い偉い!」
目線に合わせるようにしゃがむと、陽太は嬉しそうに笑って抱きついてきた。そんな陽太を私も抱きしめ返していると、急に目の前に人影が落ちた。
「ごめんね、また迷惑かけちゃって」
その人影は、秀。立ち上がって彼に向き合う。ちょうど手が目の前にあるからか、陽太は私の手をいじって遊んでいる。
「あ・・・い、いえ、そんなこと・・・」
「あはは、まだ俺に緊張してるね」
「・・・すみません、」
功平や悠輔達と話す時に比べ、やはりまだ緊張してしまう。そんな私に、秀は優しく笑う。
「大丈夫、功から聞いてるよ」
竜を抱っこして、ぐずらないように少し動きながら話す様は、どこからどう見ても父親にしか見えない。爽やかに大人びている彼は大学3年生らしい。そんな彼が突然
「はい、」
「・・・へ?」
「ずっと見てたでしょ?よかったら抱っこしてあげて」
と私に差し出したのは、さっきまで秀に抱っこされていた赤ちゃんの竜。子ども好きの私が無意識にチラチラ見てしまっていたことを秀は気づいていたよう。そして戸惑う私の腕に、彼はそっと竜を預けた。
「あれ、抱っこするの上手いね」
「そ、そうですか?」
竜は泣くことなく納まってくれている。
「・・・かわいい〜!」
あの日以来、写真でしか見たことがなかったので、こうして至近距離で見れたことに嬉しさでいっぱい。