第32章 雨は止む

その時、走ったせいかズキンッと足が痛んだ。
でもそれだけであとはなんともない。
思ったほど酷くないっぽい。よかった…。

『なんですか？』

私は笑顔を向け、そう言った。

及｢それ、無理しなくていいよ？｣

『………えっと…なんのことですかね？』

私は引き攣りそうになるのを抑え、笑みを作り上げる。
するとポンッと頭に一さんの手が置かれた。

岩｢無理して笑うな｣

一さんはそう言って優しく頭を撫でてくる。
その優しさが胸にしみた。

『…そんなに…わかりやすかったですかね？』