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アンバランスな恋模様

第26章 26日目







久しぶりに感じる懐かしい香りに安心して、今まで張っていた肩の力が抜ける。







「…手離してごめんっ・・・一緒に、傍にいてやれなくてごめん…」



私を抱きしめる力を緩めない彼が何度も何度も謝る。



「っ・・・うん、大丈夫、わかってるから、」






二宮くんも辛かったんだ。

私だけじゃ、なかったんだ。

そう思うとまた胸が締め付けられた。






少し体を離して二宮くんの顔を見上げる。



じっと、私を見つめる二宮くんの頬にはまだ乾かない涙の跡。







「・・・なみだ、」



親指で涙の流れた跡をふく。
この仕事はいつも二宮くんのものなのに。



「…我慢、したのに」





唇を一瞬噛む仕草は二宮くんの照れている証拠。








「・・・ふふ、うん、泣いちゃったね。」





私もだよと、笑ってみせた。
緊張が溶けて静かに二人で笑ったあと



「、」と名前を呼ばれた。





目の前の二宮くんはあの懐かしい顔。
眉を下げ、子犬のような口が柔らかく微笑む。





少し前まで考えられなかった幸せな光景。



ああ、やっぱりこれなんだと
確信した。




















「・・・幸せにしてね、俺のこと。」









「・・・は、いっ…」




また涙が溢れる私に


ふふふ、と笑う。






やっぱりこれが私の幸せ、




あなたがその笑い方で、








私を見ていてくれることが幸せです。








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