第26章 26日目
「………」
涙が止まらない、
声を出さずに人って泣けるんだ、
なんて冷静になれるくらい止まらなかった。
これで終わり、
あとは鍵を
「・・・諦められない、俺がバカみたい、」
微かに聞こえる二宮くんの声に視線を上げる。
目が合うと私を真っ直ぐ見つめたまま
左目から雫が流れる。
「の馬鹿がこんなに移ってたなんて。」
ふっ、と何かの力が抜けたように二宮くんの眉が下がって、久しぶりに見る優しい顔になる。
「…忘れられるわけ、ないじゃない。こんなに感染してるのに。なしでどうやって、・・・」
「に、のみやく」
私が名前を呼び終わる前に顔を歪ませ、腕を強く引かれた。
勢いよく抱かれた背中には、力の入った腕が回される。
「・・・っ・・・」
そんな切ない呼ばれ方は初めてで、私の胸がギュッと掴まれて苦しくなる。
それはきつく抱かれた腕のせいか、この気持ちのせいかわからなかった。