第18章 -合宿と合宿-
わたしの代わりに虹村先輩が
高尾さんに制裁を食らわしてくれたので、
それ以上は何も言わないコトにしたけど…
は…恥ずかしすぎる…
普段と違う格好で会ったせいもあって、
虹村先輩の顔をまともに見れない。
「あの…合宿ってコトは、
まだ練習続くんですよね?」
「あぁ…。」
「が…頑張ってくださいね。」
わたしは、ゆりの手を引いて、
虹村先輩を避けるように部屋に戻ってしまった。
「さっきの人たちもすみれの知り合い?」
部屋に戻るとゆりが興奮気味に聞いてくる。
「中学の先輩と…
もう一人の人はこの間ちょっと…」
「ふ〜ん♪」
「なぁに?」
ゆりがニヤニヤと嬉しそうなので、
ジーっと睨むと、
ゆりは予想外のことばを放った。
「先輩のほうは、すみれの元カレ?」
「え…?」
睨んでたはずのゆりを、
今度はポカンと見つめてしまった。
「だって、あの先輩、もう一人の人が
すみれの胸見た時とか、尋常じゃなかったし。」
「ち…違うよ‼︎
虹村先輩は、ほんとにただの先輩だよ?
すっごくいい先輩だけど。」
「ほんとに?」
「ほんとに!わたしが元カノとか、
虹村先輩に失礼だってば!」
「まぁ、すみれがそう言うなら、いいんだけど…
(相変わらず自己評価低いんだよなぁ…)」
「ゆりはすぐ誰かとくっつけたがる…」
「だって、すみれが彼氏作らないんだもん。
まぁ、好きな人がいるから仕方ないけどさぁ…
すみれだってモテるんだからね?
もう少し自信持ったら?」
「そんなモテないってば…。
モテるっていうのは、
お姉ちゃんみたいな人のコトを言うんだよ?」
ゆりはなんだかんだいつも励ましてくれるけど、
そんなおこがましい自信を持つほど、
わたしもバカではない。
「まぁねぇ…
でも、あんまり自分を卑下しすぎるのも、
嫌味というか…ある意味失礼なんだよ?」
「え…?」
ゆりのことばに固まってしまう。
「ま、今言うコトじゃないか!
ほら、お風呂行こう?寒くなってきちゃった。」
それからはその話はゆりとはしなかったけれど、
この間の火神さんのことばもあったせいで、
お風呂の中でも、
わたしは、ゆりのことばが頭から離れなかった。