第14章 -虹色の先輩との出会いのお話-
「からかってるわけじゃねーよ。
すみれが変わってなくて安心した。」
「少しは成長したつもりなんですけどー?」
「そうなのか?」
虹村先輩と話していると、
自分がワガママな
子どもになってるような気がする。
ほんとにお兄ちゃんみたいで、
素を出せるから…かな。
「むぅ…最初お姉ちゃんと間違えたくせにー!」
虹村先輩がまだクスクス笑っているので、
さっき電車の中で思い出した
虹村先輩との出会いを引き合いに出した。
「いや…まぁ、あれは…
つぅか、おまえら、似すぎてっからー。」
形勢逆転?
なんか違う気もするけど、
突然のわたしの指摘に虹村先輩は
タジタジだった。
帝光中の入学式の日、
わたしと虹村先輩は
とんでもない出会い方をしていた。
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『おい‼︎桃井っ‼︎』
入学式の日は午前中で終了だったので、
帰ろうとしていると、
いきなり知らない人に声を掛けられた。
知らない人だけど、
”桃井”って呼んでいるし、
わたしのコト…だよね?と思い、立ち止まる。
『来週の練習試合だけどな…
つぅか、おまえ、髪…切ったのか?』
『え⁈は…い。』
『…っ‼︎』
誰だっけ…?
上級生…?
髪はたしかに切ったから、
思わず返事をしてしまったけど、
やっぱり知らない人だ…。
ってコトはもしかして…
『おまえ、桃井じゃねーのか?』
やっぱりーー‼︎
この人、わたしのコト、
お姉ちゃんと間違えてるんだぁ‼︎
って思った時には時すでに遅し…
大ちゃんとは似てるようで違う、
切れ長の鋭い目に見つめ…
いや、睨まれてしまい、固まってしまう。
な…なんて言えばいいんだろう…
『あ‼︎すーちゃーーーん♡』
『きゃあっ‼︎お姉ちゃん⁈』
わたしを見つけたお姉ちゃんが
校門から走ってきて抱きついてきた。
『桃井…⁈が、2人…⁈』
『あ!虹村さん!お疲れさまですっ‼︎
あれ?すーちゃん、
虹村さんと会ったコトあったっけ?』
わたしはお姉ちゃんに抱きつかれたまま、
無言で首を振った。
『虹村さん!妹のすみれです。
今年から帝光中の1年生で♡』
お姉ちゃんに紹介されたので、
お姉ちゃんから離れ、ペコリと会釈する。