第12章 -インターバル事件簿-
2人と別れ、
わたしはゆっくり
観客席の通路を歩いていた。
きーちゃんたちに言ったコトに
嘘はない。
でも、さっきの大ちゃんの
ことばを思い出すと、
顔から火が出そうになってくる。
あ!たしかこの階段の近くだ!
体育館の観客席は、
上で繋がっていて、中は
一周できるようになっているので、
わたしはキョロキョロしながら、
虹村先輩を探した。
ドン…‼︎
「いてっ‼︎」
「きゃっ‼︎すみません!」
キョロキョロしていたら、
向かいから歩いてきた男の人と
ぶつかってしまった。
「…ってぇな‼︎
どこ見て歩いてんだよ⁈」
「まぁまぁ…。…っ♪
席探してたんだろー?
仕方ないじゃんなぁ?」
ぶつかった男の人は怒鳴り返してきて、
もう1人一緒にいた男の人は、
ぶつかった男の人をなだめていた。
「あ…えっと…
席というか人というか…」
「…♪ね、じゃ、オレらと観ようよ!」
「え⁈」
なだめていたほうの男の人が、
突然わたしの腕を掴んで、
突拍子もないコトを言い出した。
「いいじゃん!
コレも何かの縁だって!」
「つぅか、こいつ帝光中の制服じゃん。
おまえ、中坊が好みなのかよ?」
「中坊とか関係ねーって。
可愛いコと一緒に観るほうが
楽しいだろ?」
わたしの返事は聞く気もないみたいで、
どんどん話を進めていく2人…。
「あの‼︎一緒に来てる人がいるんで!」
ムカッとして少し強めに言い返し、
腕を振りほどこうとすると、
さらに強く掴まれてしまう。
「いたっ…」
「えー?
ぶつかっといてそれはないだろ?」
ど…どうしよう…怖いっ…
大ちゃん…っ‼︎‼︎
「おいっ‼︎
人の女に何してくれてんだよ⁈」
突然後ろから声がして、
わたしはグイッと引っ張られ、
2人組の男から解放され、
後ろから来た人に、
そのまま後ろから抱き締められた。
聞き覚えのある声…
わたしは抱き締められたまま、
顔だけあげて振り返る。
「虹村先輩っ⁈」
わたしを助けてくれたのは、
虹村先輩だった。