第7章 -ご機嫌ナナメの青色の彼-
「秀徳の…緑間先輩の友だちだよ。
高尾さんもバスケ部なんだって。
PGだって言ってた。」
「で?なんで緑間の友だちの高尾の
連絡先をおまえが持ってんだよ⁈」
なんでって…わたしが聞きたいよ。
そういえば、
なんで連絡先くれたんだろう?
「そんなのわかんないよ。
向こうが帰る時に
急に手に握らせてきたんだもん。」
「は⁈手ぇ握らせたのか⁈」
「え⁇握らせたとかじゃなくて…」
「はぁっ…ったく‼︎
で?連絡したのかよ?」
だ…大ちゃんの怒涛の質問攻めが…
終わらない。
「してないよ。」
「ほんとか?」
「…スマホ見る?」
「…わーったよ。」
自分の頭をクシャクシャッとしながら、
大ちゃんは黙ってしまった。
嫉妬だったりして…と、
すこーしだけ自惚れてしまいそうになるけど、そんなことあるわけがない。
大ちゃんはわたしに対して、
少し過保護すぎるだけ。
1歳しか年離れてないのになぁ…。
1歳の壁は大きい。
「大ちゃん、パパみたい…」
「は⁈」
「なんか娘の彼氏見て怒るパパ的な?」
「…⁈彼氏なのかよ⁈」
「え⁈違うってば…もう。
大ちゃん、ちゃんと話聞いてた?」
わたしはため息をつきながら、
小さな子どもをあやすように
わたしのベッドに座る
大ちゃんの頭を撫でた。
「…っ⁈…すみれ…‼︎」
…ギュ。
「…⁈大ちゃん⁈えっ⁈あ…」
何が起こっているのか、
必死で考える。
わたしは大ちゃんに抱き締められていた。
わたしは立っていて、
大ちゃんは座っているけど、
それでも身体の大きな大ちゃんに
スッポリ埋まってしまい、
わたしは身動きできない。
「オレはおまえのパパじゃねーよ。」
…⁈
薄いTシャツ越しに
大ちゃんの息が胸にかかる。
…っ⁈
こんな気持ち知らない…。
大ちゃんの息遣いを感じ、
胸が熱くなる。
「そ…そんなことわかってるよ。」
やっとの想いで絞り出したことばは、
可愛げのないことばだった。
「…⁈」
…⁈
大ちゃんは何も言わない代わりに、
さらに力を込めて抱き締めてきた。
「隣に住むただの幼なじみでもねーぞ?」
「え…⁇」
「オレだってただの男だ…」
…チュ。