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道化師恐怖症。

第3章 白雪姫と灰かぶりが共演らしい



休み時間になると
男子は一斉に動き出した

きっと、西崎さんと
喋りたかったのだろう

でもそれは叶わなかった


何故なら、仁王くんと丸井くんが
西崎さんを離さないから

ずっと楽しそうに喋っている


皆、テニス部との顔の出来具合を
ちゃんと理解してるんだよね

偉い偉い

そうだよね
あんなに整っている顔して
ファンクラブがいる人たちに
敵うとは思えないよね

そこは皆の良いところだと思うよ
自覚するってのは大事だ


「私も西崎さんと喋ってみたいな」

「やめといた方がいいって。
どうせぶりっ子で腹が立つだけよ」

「話してみないと
分からない事ってあると思うよ?」


そう言ってみぃちゃんの方を見て
ニコッと笑うと
頭を撫でられながらため息をつかれた


「蒼は良い子過ぎるの。
そこが長所なんだけどさぁ」

「へへへっ。
褒めてくれてありがとう」


さて、と腰を上げて
西崎さんの方に近づく

あれ?わざとらしく
ハンカチが机の下に落ちているじゃないか

拾わない手はないね


レースがついたガーリーなハンカチを
拾いあげ、西崎さんに話しかける


「落ちてたよ。西崎さんの?」

「え?あ、うん」

「初めまして。
如月って言うんだ。
よろしくね」


またニコッと笑いながら
ハンカチを差し出す

西崎さんはおずおずと
ハンカチを受け取り
「…うん。よろしく」
と、小さく言った


「可愛いハンカチを
持っとるんじゃのぉ」

「西崎らしいぜ」


仁王くんと丸井くんは
ハンカチに注目し始めた

確かに可愛いけど
実用的には見えないや

あんなに可愛いの使えない
勿体無くて


あ、そうだ

一度自分の席に戻り
カバンの中から今朝買ったばかりの
飴ちゃんを取り出す


「お近づきの印に
これどうぞ。何味が好き?」


飴ちゃんの袋を見せながら言う

ちなみにオススメはマンゴー

美味しいんだよ?


西崎さんは少し迷いながら
「じゃあ、苺がいいな」
と嬉しそうに笑った

その笑顔

嘘っぽく見えるのは私だけ?





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