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道化師恐怖症。

第36章 道化師は雨の中、月明かりの下に




「雨、中々止まないっすねぇ…」


しとしと、という擬音では表せない程の雨

ところどころ晴れ間が見えるから
きっとただの夕立だろう


赤也くんと2人 帰り道を歩いていた時に
急に空が暗くなったと思ったら
あっという間に激しい大雨が降り注いだ


天気予報では雨が降るなんて
言ってなかったのに

鞄に折りたたみ傘なんて入れてない
はいそこ、女子力低いとか言わないで



仕方ないので走っていると
屋根のあるバス停を見つけたので
絶賛雨宿り中です

20分は経っただろうか
一向に止む気配はない


スマホの充電もあまり無いし
退屈なので赤也くんをからかうことにした


「いま、なんて言ったの?」

「え?雨が中々止まねぇなぁって」

「ふーん。
…赤也くんは中々大胆なことを言うんだね」

「えぇ!?」


大慌てで頬を染める赤也くんの反応は
予想通りすぎて笑いそうになってしまう

漏れそうになった笑いを堪えて
そのまま言葉を続ける


「お、俺がなんで大胆なんすかあ!?」

「無意識に言ってたってこと?
わぁ。大胆超えてタラシだったりして」

「変な意地悪しないで
教えてくださいよぉ!!!」

「仕方ないなぁ。
さっき君が言った言葉の意味はね」


少し空いていた距離を詰めて
彼の耳元に口をに近づける

少しくすぐったそうに肩を竦める反応すら
可愛くて仕方ない


いい反応してくれるかな…
そんな期待をこめて


「〝もう少し貴方の傍にいたい〟」

「っっ!!!!!」


目をぱちぱちと大きく瞬きをさせ、
顔はまるでゆでダコのよう


「ね?大胆でしょ」

「っ、大胆…っすね」


そんな可愛い反応ばかり、耐えられない

思わず笑いだしてしまうと
赤也くんはむっと唇を尖らせた

ありゃ、怒っちゃったかな


「ん?」

「なんか蒼先輩ばっか
ズルいっすよー!!!そんな風にさぁ…」

「ズルいとは?」

「俺ばっか緊張してるみてぇ…」


一生懸命顔を隠しているところ悪いけど
赤面してるとこは見ちゃったし
何より隠れきれてないお耳がまっかっか



ちょっとからかい過ぎちゃったかな





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