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道化師恐怖症。

第34章 水たまりに突き落とす




「ねぇ」


病院から出てきて
ふらふらと歩く西崎を呼び止めた

目は虚ろ
もう輝きなんて見当たらない


「なに…」

「そんな顔しないでよ。
元々アンタに勝ち目なんてなかったの」

「っ!!…なんで、知ってるの」

「ん?」

「なんでアンタはエリナが
トリッパーって知ってるのよ!!
あぁ、きっとそうだわ。
アンタも!如月も!そうなんでしょ!?」


トリッパー?私と蒼が?

なにを言ってるのこいつ


「そんな低俗なもの一緒にしないで」

「じゃあなによ!!
アンタが神だっていうわけ!?」

「神?アンタ神と会ったことあるの?」


私は神なんかじゃない
ちゃんとこの世界で産まれた
この世界の住人
あの子だってそう


「ただ私は分かるだけよ」

「はぁ!?」

「こんなおかしな世界があるのよ?
その中で少し不思議な力を持つ人間が
いた所で変じゃないでしょ?」


ただ、わかる
どうやってコイツがここに来たのか
そのせいで元々辿るべき道と
変わってしまったこととか


「西崎 エリナがここにきたから
如月 蒼が産まれた事とか」

「え、?」

「蒼にも言われたでしょ?
この世界のおかしいところ。
それは全部アンタが来たから。
異物が来たからその異物を出すために
蒼が生まれたの」

「な、にそれ。じゃあ!!エリナは
最初から!!!」

「さよならの運命ってわけ」


彼女は崩れ落ちた
もうなんの力もない
輝きも美しさも
人を虜にする魅力さえない

哀れな彼女だがきっとやっと
その身に刷り込んだだろう

ここにいても意味が無いことに


「元の世界に帰るのも
ここにいるのもアンタの自由。
どうせ転校するでしょ?
そこで幸せになりなさい」


なれるかどうかはアナタ次第



これで私の仕事は終わり

さぁ病院に行ってあの子に会いに行こう
きっと疲れてるだろうから


西崎の横を通り過ぎた時
彼女が薄くなるような感じがした

つまりそれは、そういうことだ



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