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道化師恐怖症。

第33章 道化師恐怖症。




「けっこう力いるよねー。
1人の人間を車の前まで
押し出さなきゃいけないんだから」

「だまれ…」

「なんだっけ?アンタが悪い?
ふふ、自分勝手な正答で君は
道を踏み間違える所だったね。
あ、もう間違えてるか」

「だまれ…!」

「今更元になんて戻れないよ。
あはは!可哀想!!」

「だまれ!!!!」


ぐぁっっ


いつの間にか後ろに隠されていた手が
私の首を潰すようにかかっていた

ぎゅうぎゅうと力が込められて
少しずつ息が苦しくなる

しかし怖くない恐怖はない
こんなに小さい私のような奴に怯えてる
コイツはなにも怖くない


「また…殺す気?
今度こそ、警察い、きだよ?」

「だまれ!!だまれ!!だまれ!!!
お前さえいなければ、エリナは
エリナは幸せになれたんだ!!!!」

「は、ぁ?なにいってん、の。
アンタがここ、に来てから
幸、せなんって元からないよ」


所詮、余所者なんだから

そう言えば今までに一番
驚いた表情を西崎さんは浮かべた


「…!?なんでお前まで」


その拍子にぱっと手が離れ、ラッキー
少し下がって何度かむせた

あー苦しい


「気づいてないとでも思った?
西崎さんがこっちに来てから
おかしな所は沢山あったでしょ。
それに気づかなかったの?」

「な、なによ!!」

「なんで幸村くんはあんなに元気なの?

なんで柳くんはしっかりとデータを
とっていないの?

正義感が強くまっすぐな真田くんや
桑原くんの日和見な考えはなに?

コート場のペテン師がなぜあそこまで
簡単に騙されるの?

丸井くんはどうしてあそこまで暴力的?

紳士さは欠片もない柳生くんは?

…感情にほとんど囚われず
いつでも冷静な赤也くんに

なんの疑問も持っていなかったの?」

「っっ!!!」

「全部全部、西崎さんが来たから
ここの世界は狂ったの。
余計な歯車は一つもいらないの」


だからさ


「消えるのは私じゃなくて
アナタだよ?西崎 エリナさん」

「違う!!!違う!!!
だってアンタも原作にいなかった!!!
それに私は神様に選ばれたの!!
ヒロインなのよ!!!
だから消えるのはアンタで
幸せになるのはエリナ!!!!」


狂ったように髪を掻き毟るその姿は

本当に哀れ
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