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道化師恐怖症。

第5章 長針と短針が溶けて絡まった


ラリーをするためには、コートが
空くのを待たなければならない

少ないコートでは
少ない人数しか出来ずに
今、私たちは休憩中だ

チャンス!チャンス!
チャンスすぎる!

男子は外で私たちは体育館だから
西崎さんは男子たちを見に行く
ことも出来ない

こんな時にお喋りしないで
どーするって話ですよ!


「ねぇねぇ西崎さん」

「…なに?」


うっはぁ!!
最初と態度違いすぎる!笑える!

でも今笑ってたら完全に
怪しい人だからな…我慢我慢


「テニス部のマネージャー
やるんでしょ?
大変そうなのに、凄いね」

「そんなことないよ。
っていうか別に平気だし」

「でも、金坂さんが
ちょっと怖い人だから…。
あ、西崎さんだったら
すぐ馴染めちゃうか!」


金坂さんの名前を出すと
彼女はピクッと反応した

そして、さっきまでコートを
見ていたのに
こちらに顔を向ける


「ねぇ…私、金坂さんに
嫌われてるかもしれないの…」


急にしおらしくなる声
彼女は眉を下げ悲しげな顔をした

さっきの態度は
どこへ行ったんですかー?

吹き出しそうになったが
堪えて我慢、我慢

我慢しかしてない 私


「え?なんで?」

「昨日ね、皆の前で
自己紹介したんだけど…」


西崎さんの話によれば
自己紹介をしている時から
金坂さんはずっと睨んできて

その後、マネージャー業に
移る時も、視線は冷たくて
仕事も教えてもらえない

やり方が分からないから
教えて?と聞いてもずっと無視
なんだそうだ


へぇ…西崎さん頭イイな

金坂さんが仕事をサボって
私にやらせてくる、なんて言っても
相手が仕事をしているところを
見られてしまえば嘘がバレる

だから、教えてもらえないとすれば

多少仕事が下手でも
ましてや仕事をやっていなくても
お咎めが少なくなる


まぁ西崎さんの場合
だけだろうけど

彼女は既に自分が
金坂さんより好かれてると
分かっている

それに金坂さんがあまり
好かれていない…いや、嫌われてる
と理解しているから出来るんだ


金坂さんがとてもいい子で
皆から好かれていたら
西崎さんが言ったことを
全員から否定されて嫌われるだけ

ちゃんと考えてるんだね、凄い

やってることカスだけど




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