第94章 【矢巾 秀】恋に恋して
「俺は想像出来る!ってか、お前とキスしたい」
「ちょっ!何いきなり!変態!!」
「は?変態ってなんだよ!好きな女とキスしたいって思うことが変態なのかよ!」
少しの沈黙の後に矢巾は、なぁ。と話を切り出した。
「俺、もう限界。・・本当に嫌だったら、俺の事殴って今すぐ逃げろ」
「そんなの・・ずるいよ・・」
ゆっくりとおでこを離してお互いに見つめ合う。
教室は夕日に照らされてオレンジ色に染まり、お互いの頬がより一層キレイに染まった。
「するからな?・・いいんだな?」
「・・・・・」
「・・逃げないのかよ。き、期待しちゃうだろ・・」
「だって、矢巾とキスする想像・・出来ちゃったんだもん・・」
佐藤はへへ。と笑った後にゆっくりと目を瞑り、矢巾はドクンドクンと大きく振動する心臓の音を聞きながら二人は唇を合わせた。
「矢巾・・部活行かなくていいの?」
「行く。・・けど、もう一回」
再びキスをして、矢巾は佐藤を抱き寄せた。
「今日、部活終わるまで待ってて。一緒に帰ろう」
「うん」
「手繋いで帰ろう」
「うん」
「あと、寄り道しよう」
「うん」
「寝る前には電話しよう」
「ふふ。うん」
「それから・・」
「ん?」
矢巾はもう一度佐藤の頬を両手で包み込んだ。
「俺の彼女になって下さい」
「・・はい」
うなずく佐藤に矢巾は最後にもう一度キスをした。
TheEnd