第2章 小学生時代
「未來!」
暫く走ると、手を大きく振っている兄さんが見えた。それに此方も振り返す。
「そんなに走ってどうした?汗凄いぞ」
兄さんに汗を拭かれながら笑う。
「将来、兄さんの彼女になるであろう女の子に会って来た」
「なんだそりゃ?僕の彼女は未來だけだぜ」
なんて言う兄さんに、思わず冷たい視線を送る。そんな私を見て、兄さんは焦っている。
「はぁ…」
「なんだよ‼︎ノッてくれてもいいだろ‼︎」
溜息を吐くと、兄さんに逆ギレされた。
「兄さんってさ、シスコンだよね」
小説の中でもだいぶシスコンだったが、この世界の兄さんは、その比じゃない。余談だが、私のファーストキスは兄さんだ。
「うわっ⁉︎何すんの!」
「なんだ未來、また大きくなったか?」
「またってなに!またって!何で前の私の胸の大きさを知ってるの‼︎」
急に胸を鷲掴みされて、思わず大きな声が出る。
なんだ、シスコンと言われた事への仕返しか?本当の事なんだから、しょうがないじゃないか。
「ああ、もう!早く帰るよ!」
「あ、おい!待てって!」
何か言っている兄さんを無視して、家に向かって走りだす。振り向くと、慌てた様子の兄さんが目に入る。なんだか可笑しくなって、笑ってしまう。
「何笑ってんだ!」
「何でもない!」
前世も今も、優しい家族がいて幸せ者だなぁ、私は。
END