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君と鼓動が重なる時・2【進撃の巨人】

第158章 番外編《それぞれの“これから”のすごしかた》



「さっき…お祭りの時、あんなに視線を感じたのは、エルヴィンがいたからだね。」

「どうだろうね。」


頬に当てられた手とは反対の手のひらが、優しく私の髪を撫でる。

髪の先端まで辿り着いた指先は、そのまま毛先を弄び始めた。



「……またそうやってしらばっくれる。」

「別にそんなつもりはないよ。
リヴァイもモブリットも顔は整っているからね。
それに国籍もそれぞれ違うような風貌だろう?
そんな三人に囲まれている状況が珍しかったんじゃないか?」


珍しかった、なんて言葉で済ませられる程、穏やかな視線ではなかったけどね……

そう言って反論したい気持ちもあるけど、嬉しそうな表情で笑いかけてくる相手に、異議を唱える気は起きない。



エルヴィンにされているのと同じように、エルヴィンの髪の毛を指でくるくるといじる。

見た目以上に繊細な金髪は、指先に翻弄され、私の意のままに指に絡まって来た。




「……君が見つかった以上、俺もリヴァイと同じで、この仕事をしている意味はないな。」

「えっ、モデル辞めちゃうの?!」


思わず指先の動きを止めて声を上げると、エルヴィンに顔を覗き込まれる。



「何だ、その反応は。
俺にも辞めて欲しくないのか?」

「いや……どうだろう。」


うーん、と小さく唸ってしまう。


エルヴィンは小首を傾げたままこっちを見つめていた。




「エルヴィンくらい整った容姿をしている人がモデルをしないなんて、勿体ないし、今居るエルヴィンのファンにも申し訳ないし……」

「でも?」


心の中で呟いた接続助詞は、エルヴィンの口から零れた。

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