第158章 番外編《それぞれの“これから”のすごしかた》
「おい、立ち聞きか?」
「凛の言う通りだな。」
「……何がだ。」
「オールバック。確かにお前に似合ってる。」
「……そうかよ。」
完全に不信感しかないような三白眼に睨まれる。
リヴァイのこの表情を見るのは実際かなり久しぶりな訳だが、“前世振り”というくらい遠い昔だとは思えないほど、その表情も身近なものに感じられていた。
リヴァイの後姿を見送った後、部屋に入り、ふすまを閉める。
すぐに視線が合った凛の隣に座り、衝動的に抱き寄せた。
「……エルヴィン?」
いきなり抱きしめるのは反則だっただろうか。
困惑を帯びた声を耳にしながらそう思うが、凛を抱く手を緩める気にはなれない。
すまない、少しこのままでいさせてくれ。
そう心で呟きながら、懐かしくも、ずっと恋しく思っていた温もりを噛み締める様に、強く抱きしめ続けた。