第158章 番外編《それぞれの“これから”のすごしかた》
モブリットは躊躇いながらも、凛と同じように、凛の腰に手を回す。
余裕のあるところを見せようとしても、結局こうして凛のペースに巻き込まれる。
本当に……凛にはいつも自分ばかりが振り回されて、絆されてばかりだ。
それなのに、それが嬉しくてどうしようもなかった。
出会う世界が変わっても、相変わらず凛の発するフェロモンは変わらない。
肌の匂いを感じる様に、首筋に鼻を寄せる。
やっぱり、“タイムスリップの影響で凛に魅かれていた”なんてことはないようだ。
こうして同じ世界で再会した今だって、凛の体温だけで十分すぎるほど欲情していた。
……ここまで近付けても、これ以上先に進めないのはなかなかの拷問だな……
好きになってくれるまで凛に手は出さない、と自分から言ったものの、そんな発言、今すぐにでも撤回してしまいたい程、凛の熱をもっと近くで感じたくなっていた。
「モブリット、相変わらずいい匂いするね。」
凛の唇と鼻先が、耳元を擽るように刺激してくる。
吐息が漏れそうになるのを必死で堪え、細く長い息をゆっくり吐いた。
「……凛、そろそろ離れてもらわないと、本当にマズイ。」
本音を溢してみても凛が離れてくれる気配はなく、それどころかますます強く抱きしめられる。
身体中が熱い。その上、この熱を発散したくて仕方ない。
……もういい。取り敢えず一旦押し倒してしまおう。
思わずそんなことが頭を過った瞬間、凛の悪戯っぽい笑顔に見据えられた。