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君と鼓動が重なる時・2【進撃の巨人】

第156章 I keep looking for you.



「今の職場、いい人いないの?」

「いないよ。」

「凛がそういう目で相手を見ていないってだけじゃなく?」


また図星を突かれるようなことを言われ、返答に困る。



「エルヴィンが戻ってから、もう三年だよ。
そろそろ“この世界”の人間に興味を持ってもいいんじゃない?」

「本当にね。範司の言う通りだと思う。
……でも、無理なんだよ。
この三年間、恋愛したいなんて全く思わなかったし。
あの世界の男性が、みんないい男過ぎたせいだろうね。」

「あんなに旺盛だった性欲も、全く湧かなくなっちゃったし?」

「こら!言い方!」


冗談めかした口調で言ってみると、更にふざけた様子で問われて、範司のお腹を軽く突いた。



「本当に意外だよ。
凛は人肌恋しくなると、すぐ誰の誘いにでも乗るような女だったのに。」

「ほら、また私に失礼こと言ってるからね?」


もうちょっと言い方あるでしょ?と言いつつ、その発言を打ち消すことはできない。

あの頃の常に自暴自棄な自分は、完全にいなくなっていた。




「凛のガードが固くなったのは何よりだけど、硬すぎるのもねぇ……
もういい年なのに。」

「……範司に言われたくないよ。」

「ははは、確かに!」


可笑しそうに肩を震わせる範司に頭をポンポンと撫でられ、範司が飲んでいた缶ビールを手渡される。



「ちょっと凛の酔いが醒めそうなものでも買ってくるよ。
座って休んでて。」


どんなものを買ってくるつもりだ……


範司の後姿を見送りながら、少しばかりの嫌な予感を胸に、手渡されたばかりの生温くなりつつある缶ビールを一口、口に含んだ。


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