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君と鼓動が重なる時・2【進撃の巨人】

第156章 I keep looking for you.




範司に勧められるまま飲み始めた缶チューハイを、一本飲み切ったあたりで、もう身体は火照り始めている。

この三年間、酒類を殆ど口にしてなかったこともあり、久々のアルコールは簡単に自分の気持ちを高揚させた。



「久し振りのお酒もいいね。
なんとなく飲む気になれなかったけど、たまに飲む分にはいいのかも。」

「そうみたいだね。
ちょっとフラつき始めてるけど。」


笑顔のままの範司に、街路樹脇に置かれたベンチへ誘導され、若いカップルの隣に腰掛けた。




「……凛さぁ。
さっきから結構見られてるの分かってる?」

「ああ、浴衣の柄が今どき珍しいからじゃない?」


今日着て来た浴衣は、エルヴィンとリヴァイが範司の勤める博物館でバイトしていた時、館長さんの奥様から頂いた浴衣だった。

有松絞り浴衣自体、道行く人を見た感じでは、着ている人は少ない。



「浴衣の問題だけじゃないと思うけどね。」

「……どういう意味?」

「凛、異世界に飛ばされて戻って来てから、明らかに魅力が増したよ。
自分でも自覚できるくらい、ナンパだってされてるでしょ?」


範司の問いに対して、否定することも出来ずに口籠る。


確かに、あの世界から戻って来てから、男性に声を掛けられることは多くなっていた。


しかも、道端で行われる軽いナンパだけではなく、今まで声を掛けられたことのない、女遊びをしたことのなさそうな上司や同僚、後輩に誘われ、真剣な交際を求められることもある。

自分が変わったという自覚はそこまでないが、こうしてタイプの違う男性にまで声を掛けられるようになると、あの世界での生活が、自分を変化させる要因になっていたことは確実だろう。

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