第120章 嫉妬の続き

「こんなこと俺が凛に言うのが
間違ってるから……
でも、多分言わないと凛も納得しないし、
俺もいつまでたっても
中途半端に凛を傷付けそうで。」

「いや……絶対私が…
私だけが間違ってるからね。
その場面を目撃させたこともだけど、
そもそも最初から間違ってる。
複数の男性と同時期に関係を持つなんて……
しかも、みんな自分に好意を
持ってくれてるって明らかなのに、
全員と思わせぶりな行為をするって、
常識ある人間ができることじゃ」

「凛。」


感情に任せて思ったことを
つらつらと口にしていたが、
モブリットの少し強張った呼びかけを機に
言葉を止めた。




「それを認めてるのはこっちだし、
むしろ俺たちの方が
強要しているようなもんだから。
こんなことでやきもちを妬くような俺が
何を言っても理解はできないかも知れないけど、
君が自分を責めるのは嫌なんだ。」

「そうは言っても、」
「それに、団長や兵長からも
聞いてたことがある。」


「……何を？」


悉く発言を遮られ、自分の意見を発することは
取り敢えず諦めて
モブリットの話を聞く体勢になる。



「君がまだ
ここに来たばかりの頃の話だけど……」


少し目を伏せたモブリットは、
ゆっくり口を開いた。