第39章 始まりは睫毛より上(花巻貴大)
「で、みょうじを呼んだ理由なんだが、」
花巻くんが近寄ってきた。すっかり懐柔されてしまった私は、すぐには逃げれず、簡単にラグの上に組み敷かれてしまう。
うおーーーいやっぱそういう展開!?イタダキマスってやつ!?
「ちょちょちょ、花巻くん!」
仰向けの状態で抵抗するが焼け石に水。
すごいバレー部の腕の力ってすごい。
大きな手がするりと頬を撫であげた。
「待って私まだ色々と準備や処理が間に合ってないんですけれど!!!」
「かもなぁ」ガッ!とまた前髪を掻き上げられて憎々しげに言われる。「この眉毛」
「ヤダーーーッ!行くならベッドd、、え、眉毛?」
予想外の単語に動きを止めると、私に覆いかぶさってきた花巻くんが「高3だろ、お前」と渋い顔をする。「前髪で隠れるとは言え、このボサ眉はありえない」
「え」
「普段どーゆー手入れしてんの?」
「いや、特に」
「ナチュラルに?」
「というか自然のままに?」
「最近それも流行ってるけど?」
「……やっぱりノータッチは?」言わされている。
「女の子として?」
「あ、あ、あり」
「ありえないよな」言われちゃった。
影のある笑みをこぼして、「と、ゆーことで❤︎」 ピッ、と長い指がソファを示した。「俺に整えさせろ。拒否権は無い」
えええ何この展開!?
少女漫画で見たのと違うーーーーッ!