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終わりの日-黄昏-

第3章 鬼灯


暗闇の中、柔らかなものに包まれて居るのを感じた。あぁ、死んだのかななんて呑気に考える、そんな馬鹿な撃たれた覚えもないのに。

一人で考えて一人で突っ込むなんと寂しいことか。
誰かが動く気配がして反射的に目を開く、消毒液の独特な匂いがして真っ白な天井。去年嫌というほどみた光景に似ている。

目を四方八方に巡らせているのどこからかヌッと顔が出てきた。声にならない叫び声をあげ思わず起き上がってしまうが当然その人の顔面に思いっきり強打してしまう。

「いったぁあっ!す、すいません!!」

「……大丈夫〜、私こそごめんね!大丈夫?」

うへへっと気の抜けたように笑う少女は白衣を身につけている。医者なのかな見た目ワタシより下に見えるのに。

「ショウちゃん、軽い発作と弾食らってたから一応摘出しておいたけどしばらくは腕使えないからね?二発もぶちあってよく気づかないよねぇ。」

ぼけっとしていた頭に叩きつけるように言い放ったその言葉は衝撃的すぎてしばらくは理解できなかった。
発作の方は理解出来たが弾がぶちあった?

「ん?あ、ごめんね!いきなり私、リーサ!好物はドイツさんかなぁ!」

「は、はぁ。」

ニコニコ笑顔で意味のよく分からない事を言っている、とりあえずこの人は同類だ、不思議ちゃんだ。いや、それどころじゃなく
「弾が当たったって本当ですか?」

確かに今はジリジリと焼けるように痛いがあの時は痛くも痒くもなかった。

「うん、腕に二発。一発は貫通してて二発目は肩に埋まってた、浅いから何とかなったけどねぇ。あれ?気づいてなかった?」

可愛らしいたれ目を不思議そうに細める。ワタシはこくりと頷く。

「んー、多分アドレナリンの分泌で痛みを感じなかったんだと思う。そうとう興奮してたみたいだね!」

なんでそんなに興奮という言葉を嬉しそうに言うのかわからないが一応納得しておく。
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