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君の瞳に映る傘【神威】

第11章 傘の下の男の子


「なに?」

「いえ」

「言って」

「目が…そっくりだなって」

「誰に」

「神楽ちゃんにです」

「やめてよ、あんな奴と一緒にしないでくれる?」

「すみません…」

「…」

俯くと、視線に入ったのは彼の足。
足にも包帯をしています

「あの…」

「なに?」

「怪我、してるんですか?」

「え?してないけど」

「そう、ですか…」

じゃあどうして包帯なんか

「…気になるの?」

「え?」

「気になるんでしょ、怪我してないのに包帯してるのが」

「…はい」

「光が嫌いだからだよ」

「え?」

「何度も言わせないで」

「…」

彼はダルそうにそう言うと、私に傘を向けた。
そういえばこの人は晴れているのに傘をさしています。
神楽ちゃんと同じです。
服装も神楽ちゃんみたいなチャイナ服で…

「見覚え、あるでしょ?この傘」

視界に入れるとその傘は、やっぱり神楽ちゃんのにそっくりで

「はい」

「アンタ、やっぱり視野が狭いのかい?」

「……え」

驚きました。
銀時さんや神楽ちゃんも気が付かなかったのに
この人はこんな短時間で気がつくなんて

「はぁ、やっぱりね」

「なぜ…ですか?」

「いちいちものを見るとき正面になってるから。」

「あ…」

そういうと彼はまた傘をさしました。
光が彼の傘で遮断され、
何故か私も落ち着きます。

生ぬるい風のなかで、わたしたちは何もしゃべりません
風が少し、木の枝を揺らすだけで
それ以外は何も聞こえないんです。
さっきまで聞こえていた公園の笑い声も、何も。
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