第13章 雷十太と剣術
私は気持ちを落ち着かせるために、息を吐く
そして竹刀を持ち、構える
そして、私は目の前にいる人と稽古を始める
竹刀がぶつかり合う音が響く
「真愛さん、腰を引かず相手の目を見る!」
『はい!』
「あと、もう少し懐に入って!!」
『はい!』
いつも薫さんと稽古をしているが
なんというか、重さが違う
薫さんも力強いが、その力強さとはまた違う
男性だからだろうか、全てが重い
少し休憩時間をとった
汗を拭きとり、息を吐く
ちらりと上座の方に目をやる
上座には緋村さんがいて座布団の上でくつろいで、稽古の様子を見ていた
そして、目があった
とっさに目を逸らした
別に私のことを見ていたわけではない
だから、調子に乗るな
自分を見ていた、ってバカなことを考えるな
と、その時
訪問者が現れた
ワラジを深くかぶった図体のでかい男
土足で道場にあがる
彼は上座にいた、緋村さんと前川先生の所に真っ直ぐに向かう
「中越流開祖前川宮内と見受けた。一つ手合せ願おう。吾輩は、石動雷十太!!日本剣術の行く末を憂う者である!」
日本剣術の行く末を憂う者?
だったら、草履を脱いだらどうなの?
前川先生は、この男との手合せを承諾した
竹刀で三本勝負
先に二本取った方の勝ち
通常のルールだ
そのとき、もう一人道場に入ってきた
弥彦君と同い年ぐらいの男の子
入ってきたと同時に弥彦君と言い争う
……似ているな、この二人
審判は薫さん
公平を期すためだ