第3章 大きい籠小さい籠
彼が来なくなって1年、2年、………
10年が過ぎた頃
やがて私は彼を待つことをやめてしまった
そして何十年もの年が過ぎた
私はいつものように仕事のために準備をしていた
皆のいるところへ降りて行くと
皆の雰囲気がいつもより艶めいていることに気がついた
私はふと彼が初めてここに来たときのことを思い出した
そこで私は僅かながら期待をしてしまった
また彼が来るのではないかと
そして
今度こそ自分を指名してくれるのではないかと
なので
私は急いで戻って
化粧を直し
髪を梳いた
少しでも彼の目に映りたくて