第1章 あなたは私のプリンセス?麦藁一味と呼ばれる海賊。
「私、小さい頃…、両親亡くしたんです。
どっかの海賊に島を滅ぼされて…。
私だけはと逃がしてくれて、ここに流れ着いたんです。」
私は何故かサンジさんに抱き締められたまま、
昔の話をしていた。
「なにもできなかった。それがとても悔しくて、たまらなかった。
だから、ここで強くなって、攻めてきたやつらを倒してきました。
あのときの海賊がもしきたら…とか考えちゃって。えへへ、待ってるだけじゃ復讐はできないってのはわかってはいるんですけど…」
なにも言わないサンジさんを私は見上げた。
「サンジさん?」
「じゃあ、外に出てみればいい。」
「それはできないです。私がいなくなったら、ここは誰が守るんですか。
またあのときみたいになりたくないです。
おばさんたちは私の家族です。もう…失いたくないです。」
たしかに外に出ることは考えたことはある。
だけど、最終的に頭をよぎるのはここの島の住人たちのこと。
「そっか…強いレディも悪くないが、たまには泣くレディも悪くないと思いますよ」
「え?」
私のことを言ったのかわからないけど、
その言葉はきっとわかるときがくるんだと思った。