第3章 チェシャ猫・ボリス=エレイ
「はあはあッ!!…助かったぁ!大丈夫だった?アリ…」
ぎゅっとボリスにしがみついたまま、彼女は小さな肩を震わせていた
ボリスはふわりと優しく微笑み、アリスの頭をゆっくり撫でる
「大丈夫だよ、アリス。2人共無事だ」
「…ボリスが、怪我しなくて良かっ、た…」
(あなたが死んでしまったら、私…)
「大丈夫だって!俺はチェシャ猫。これくらい出来なかったら他の役持ちたちにバカにされるぜ」
冗談めかした言い方もどこか柔らかく、アリスを安心させるように温かい
「だから、顔上げてくんない?アンタの可愛い顔見たい」
右手でアリスの顎をくいっと上げると、涙で潤んだ瞳がボリスを見上げる
「アンタって、こんなに可愛かったんだね…」
啄むようなキスが顔中に降り注ぐ
でも、アリスは抵抗しなかった
「嫌じゃない…?」
ボリスの問いかけにアリスは涙が流れる顔で精一杯微笑む
「嫌じゃないわ。むしろ、好きよ…?」
そう言って今度はアリスから彼にキスをする
頬を赤くして驚くボリスを見て、アリスも途端に恥ずかしくなってしまう