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【黒バス】透明な君に恋してる

第10章 月のない夜



「え? なんで背後?」


 シャンプーの香りがしたかと思えば、黒子の腕が回ってきてぎゅっと抱きしめられていることに気付いた。全身に彼のぬくもりが行き渡って、徐々に顔が熱くなるのを感じた。


「なっなに!!?」

「怖いんですよね? ほら、これで怖くないですよ」

「うっ、そっそうだけど恥ずかしいんだけど!?」

「煩いなぁ……黙ってくださいよ愚図」

「相変わらず酷い」


 会話が途切れて、静寂が訪れる。でも背中越しに伝わる体温や、黒子の鼓動の音を感じていると不思議と恐怖は潜んでいった。


「僕、今お得ですよ?」

「もしかしてさっきの話の続き? どうしたの。お買い上げされたいの?」

「違いますよ愚図」

「ほんと黒いな」


 黒子はほんと、時々何を考えているかわからないから面倒なところがある。まぁ、面白いんだけどさ基本的には。


「南雲さん」

「ん?」


 首筋に彼の吐息がかかる。


「僕なら、君を絶対幸せに出来ます」


 息が止まる、言葉が失われる。周りの音が消えていく。

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