第16章 相合傘
「今日はもう部活いいって言われたから、このまま帰らない?」
「別にいいけど……そうだ! 敦君は、帝光卒業したら……その、バスケ、続けるの?」
さっきバスケについて、詳しく聞いて喧嘩した癖に、本当に私は懲りない奴だと思う。敦君もそう思ってるのか、顔に「しつこい」と書いてあった。
「なんで有栖ちんは、俺のバスケに関することをそんなに知りたがるわけ?」
「だって、私バスケしてる敦君、かっこいいなって思うから」
「はあ? 意味わかんないし……」
照れてるのか、頬を掻く敦君。
「まぁ、たぶん続けるんじゃない? ほら、推薦とか取れれば試験勉強必死にしなくていいし」
「そこが狙いか」
「……そんなに俺のこと気になるなら、帝光卒業したら一緒の学校目指せば?」
「え?」
「その方が、俺もいいし」
手を繋いだ。敦君の手には、二人分の鞄があっていつの間に……と思う余裕もなく、早々と屋上を出ていく。心の中で、青峰に感謝しつつ私達は下駄箱のある玄関へ向かった。
「でも、敦君と同じくらい勉強できないとそれって難しいかも」
「勉強なら俺、教えてあげるけどぉ?」
「え、教えたり出来るの?」
「まぁ、任せて」
靴を履き替え、外へ出ると何故か雨が降り始めていた。
「あれ? さっきまで降ってなかったよね?」
「うわぁ、雨とかまじないわ。俺、傘持ってないんだけど」
「あ、私折り畳み持ってるよ。入っていく?」
「うん、お願い」
お気に入りの傘を開く。よかった、ピンクとかじゃなくて。でもこれって、もしかして相合傘?