第15章 それぞれの痛み
視界が滲む、涙が溢れて来る。悲しい、だって……好きじゃなきゃあんなめんどくさい合宿、そもそも来ないんじゃないの? 違うの? 今まで積み重ねてきた練習だって、好きで強くなりたいからじゃないの?
「何が、違うの……っ」
気付いたら屋上まで駆け上がって、重たい扉を乱暴に開けた。
「――――っ……!!!」
声にならない声が溢れた、涙と共に。敦君はずっと、私を鬱陶しいと思ってた? うざいと思ってた? 部外者の癖になんだよって思ってた?
確かに私は皆のこと、ちゃんと知っているとは言えないけど……それでも、少しは近くで見ていたつもりなのに。凄く、遠い。
「お、おい……どうした?」
「……え?」
横目で見えたのは、青峰だった。
「な、なんで泣いてんだよ! 誰かに何かされたのか?」
「……青峰っ」
「お、お!?」
思い切り青峰の胸に泣きついた。ああ、かっこ悪い。そんなことわかってはいるけど。
「うっ……うあっ……」
「ったくよ……。一体何があったんだよ、泣くなよ有栖」
青峰は少し困った様子でいたけど、優しく頭を撫でて背中をさすってくれた。それでも私は、ただ泣き続けた。