第15章 それぞれの痛み
「有栖ちんに何がわかるわけ?」
「……なん、ですって……?」
「俺らに勝てるとこなんてないの。何もしなくたって、俺らは勝てるんだからさ……練習する必要なんてないじゃん? 峰ちんだって監督から練習に来なくていいって言われてるのに、俺は駄目なんて納得いかないじゃん?」
「……青峰が? なんで」
「あのさ、この際言わせてもらうけど……有栖ちんって俺達の何なわけ?」
「え?」
「マネージャーでもないし、ましてや俺の彼女でもないじゃん。何粋がって説教してるわけ? うざいんだけど」
「それは……っ」
「バスケとか、出来るからやってるだけだし。別に好きじゃない。好きじゃないとやっちゃ駄目なの? 才能ないくせに続けてる方がよっぽど哀れじゃん」
敦君を睨み付ける。どうしてそんな酷いことを言い続けられるのか、私には理解できない。
「才能なんてなくても、努力すれば才能がある人にだって負けないよ!」
「それは綺麗ごと。結局才能がある奴が勝つ。有栖ちんほんとうざい、関係ないでしょ? 俺の前から消えてよ。鬱陶しい」
「……っ、敦君なんて……だいっきらい!!!」
悔しい。悔しい悔しい悔しい……っ! 言い返せない自分も、関係ないって言われたことも。私は本当に部外者なんだと、実感する。そうだ、合宿で一緒に過ごしたせいで勘違いしてたんだよねきっと私は。
マネージャーでもない、敦君の彼女でもない、何でもないただの私が何を言ったって……彼には届かないわけか。そっか……。