過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第13章 重すぎる愛の告白
「・・・で?何があった?」
呆れた声色が出たが、
リヴァイは律儀な人間なので困っている者を見捨てる事はない。
しかし、今回は自分の許容量を超えそうな出来事っぽいと
本能が警告してきて、少し引き気味である。
心強いのは、訓練を途中で抜け出して
今付き合ってくれているミケくらいだろう。
ナナシから『エルヴィン・スミス』の名前が出てきた時から、
一人では対処不可能だと既に当たりをつけている。
「いきなり・・・小童が来て・・・・・・」
「それで?」
エルヴィンの事を何故『小童』と呼ぶのかというツッコミを
入れたかったが我慢する。
多分深い意味は無いのだろう。
リヴァイは『小僧』、ミケは『若造』と呼ばれているのだから、
ここでツッコんで藪から蛇を出したくはない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・汚してやりたい、と・・・告白され・・・た」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
は?
今何て言った?
俺の聞き間違いか?
そう思い、ミケに視線を向けるが
同じ事を思ったらしいミケの視線とぶつかる。
・・・・どうやら聞き間違いではないらしい。
クソ面倒くせぇ!!
「おい、一から全部詳しく話しやがれ。
そうじゃねぇと対抗策が見つかねぇぞ」
俯いて涙声になっているナナシは相当弱っている。
ここまでこいつにダメージを与えたエルヴィンの言葉がどんなものだったか
・・・・・ぶっちゃけ聞きたくもない。
いや、何とな~くわかっているのだが、
本人の口から聞くのが恐ろしい。
「最初・・・壁外調査へ行くと・・・。
次にもう会えぬやもしれないから話がしたかったって・・・・
で、恋愛感情を向けていると言われた・・・・・」
辿々しくされる説明に、
ここまではマトモな話だと二人は思った。
二人が男同士なのは差し引いても、まだマトモだ。
あのエルヴィンに常識を求めてはいけない。