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第1章 Happy Birthday to You!!


そんなわけで8月7日。時刻は夜8時を回ったところ。
明日は平日だけど、僕は有給を、陽子はバースデー休暇なんてものを利用して、2人の時間を作り出した。
仕事から帰ってきた僕は、部屋を掃除しつつ明日のシミュレーションに余念が無い。


誕生日と言えば、まずケーキ。
しかし僕の家の冷蔵庫には、調味料と缶ビールとオレンジジュースぐらいしか無い。すっからかんもいいところだ。
こんなんじゃおもてなし出来ないって?缶ビールなんて色気もへったくれもないって?
・・・ふっふっふ。しかしこれでいいのだ。
「明日は夜7時!でいいんだよな!?」
独り言を叫んで掃除用具を投げ出し、パソコンのメール画面を開く僕。
「なんてったって明日は、高級レストランでディナーなんだからな!」

少々見栄っ張りで、料理も出来ない僕に出来るのはこれくらいの事だけだ。
とは言っても大枚をはたきましたよ?ええ。諭吉さん2人を生贄に、魔法カード「誕生日ディナー」を召喚させていただきました。
おかげさまでテンション上がっちゃって、独り言を叫びつつ荒ぶる鷹のポーズまでとっちゃう。今日のポーズは一段と決まってるな。
・・・奇行は独り暮らしの醍醐味なんだから、そんな目で見ないでくれよ。


しかしこれだけの切り札を出せば、陽子も喜んでくれる事間違いなし!
陽子が好きなケーキの種類もリサーチ済!フルーツたっぷりのタルトケーキだよな!
メールを確認しても「予約時間 19:00(バースデーケーキサービス付き)」の文字。
よしっ!夜の予定は完璧だ!
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