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〜Mint Candy Story〜

第44章 -紹介-(黄瀬/宮地)


-後輩*黄瀬涼太story-


「うっわぁ…変わるもんスね‼︎」


2人きりの沈黙を破ったのは、
黄瀬くんのほうだった。


「う…るさいなぁ…」


小洒落たイタリアン居酒屋の個室に
一緒にいるのは、なぜか会社の後輩…


ただの後輩じゃない。


'”生意気な後輩”の黄瀬涼太。


2人きりで飲みになんて
行ったこともないのに、
なんで今日はその黄瀬くんと
2人きりなのかというと…


「まさか、森山先輩の彼女さんの友だちが
檜原さんだったなんてビックリしたっス!」


こっちだって、あやめが紹介してくれるのが、
黄瀬くんだったなんてビックリだよ…


この間、久々に仕事帰りに時間ができて、
親友のあやめと飲んでいたら、
わたしの仕事漬けの毎日と、
女子力の無さに見兼ねたあやめが、
『男、紹介する‼︎』と言い出した。


本気にしてなかったから、
好みのタイプを聞かれ、適当に
『年上のイケメン‼︎』って言ったのに…。


「わたし、と・し・う・え・の‼︎
イケメンを希望したんだけど…」


精一杯の皮肉で黄瀬くんに言い返す。


「…っ‼︎(ムッ…)年上だろうが年下だろうが、
イケメンには変わりないっスよ?」


「…。」


本当のことすぎて、言い返せないのが悔しい。


今日、貴重な休みにあやめに呼び出され、
あっという間に服もメイクも髪型も
あやめに変えられてしまった。


清楚な花柄のワンピース。
髪も可愛らしくフワッと巻かれて、
いつもはサボってるグロスを塗られて、
「可愛い♡可愛い♡」って、
あやめと森山さんにおだてられて、
調子に乗って、指定されたお店に
来てしまったのが間違いだった。


おかげで今、わたしは黄瀬くんに
人生最大の弱みを握られようとしている…
てゆぅか、もう握られた…


幸い、まだドリンクしか頼んでいない。
わたしは伝票を確認して立ち上がった。


「出よっか?」


「ちょっ…」


「せっかくの日曜日にわたしと食事するの?
それに、黄瀬くんも先輩に頼まれて
断れなかったんでしょ?」


わたしが苦笑いしながら言うと、
黄瀬くんはまったく予想していなかった
行動に出た。


「檜原さん…」


「…?」



カシャッ…



「え…?」

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