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〜Mint Candy Story〜

第43章 -花園-(赤司征十郎)


「忘れられなかったの!
なんでかわからなかったけど…
でも、今日学校で、貴方が
赤司征十郎だと知ってわたし…!」


「オレだと知らなかったのか?」


彼は心底驚いたように、
わたしの顔を覗き込んできた。


「…はい。お名前…
一度聞いたきりでしたし…
あのような場で会う方のお名前は
覚えられなくて…」


「それは悪いコだな…」


彼は苦笑いをしながら、
また優しくわたしの頬に触れた。


「…前の婚約者の名前も
下の名前は覚えてないですもの。」


「…!もう二度と口にするな。」


「え…⁈」


”前の婚約者”と言っただけで、
優しい雰囲気は一変、
彼の声は途端に冷たくなった。


「彼はもう婚約者ではない。
すみれの婚約者はオレだ。」


「あの…それって…」


今度はわたしが彼の顔を覗き込む。


「…ヤキモチだったりします?」


「…っ⁉︎…違う。」


少し赤くなる彼の頬…。


初めて見る彼の表情だった。


「…‼︎かわいいっ!」


わたしは思わず彼にギュッとして、
彼の胸に顔を埋めた。


「おい‼︎すみれ…‼︎」


「好き!」


「…⁈」


「征十郎さんが好きですっ!
いろんな表情を見せて…。
もっともっと見たことのない
征十郎さんを見たいです。」


「オレもだ…」


征十郎さんは、わたしを
力強く抱き締めてくれる。


「これからはオレにだけ…
すみれの
いろんな表情を見せてほしい。」


「はい。」


「それから…正式に申し込む。」


征十郎さんはわたしの肩を持ち、
わたしを少しはなしてから、
ジッとわたしを見つめた。


「オレの婚約者に…
オレと結婚してください。」


…‼︎‼︎


「はいっ!」


ウソじゃない…
とびっきりの笑顔で返事をした。






わたしはこの花園で、
諦めていた恋を手に入れた。




---End---




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