第41章 -海常-(黄瀬涼太)
「すみれは…気付いてねぇぞ。」
「…っ⁈」
笠松先輩は、
ジッと睨むような表情で
オレを見上げていた。
「オレはもちろん譲る気はねぇ!」
意志の強い目…
オレの憧れの先輩の目…
やっぱり気付いてたんスね。
「だから、遠慮すんな!
正々堂々来い!
いつでも受けてやる!
でも!譲る気も…
負ける気もさらさらねぇ‼︎」
オレから目をそらすことなく、
それこそ正々堂々と、
カッコいいコトを
サラッと言ってのける笠松先輩…。
ははっ…かなわないっスね。
でも…
「じゃあ、遠慮なく!
オレも本気でいくっス!
いまのことば、
後悔しないでくださいね?」
オレは指でピストルの形を作り、
笠松先輩を撃つマネをした。
「バーン☆」
ウインク付きで☆
「ふざけんなっ‼︎
それのどこが本気なんだよっ⁈」
ガンッ‼︎
「いってぇ…‼︎」
せっかくの本気モードなのに、
笠松先輩に蹴り倒されてしまう。
「すみれせんぱーーい‼︎
笠松先輩がーーっ‼︎」
「どうしたの?
また幸に蹴られちゃったの?」
オレは泣きマネをして
すみれ先輩の所へ行った。
「おいっ‼︎黄瀬っ!!」
笠松先輩の怒った声が聞こえるけど、
それは気にしない。
「すみれ先輩も‼︎
オレ、本気っスよ!
覚悟しといてくださいね!」
ウジウジしてんのなんか、
オレらしくないっス!
バスケもすみれ先輩も、
この海常高校バスケ部で…
何もかも本気になろう。
そう思えた16歳の誕生日。
---End---