• テキストサイズ

深く染まる、私の居場所

第2章 ~独りぼっちの世界は白~


紫音視点


私は一人だ。

親が一人、毎日体に傷を作っている私を皆は嫌った

故に、一人。

親は私に無関心。ストレスをぶつけるサンドバック。

小学も、中学2年になっても、

ただただ暴力を受けるだけの人。

最近私は自分が人なのかと疑問を抱くようになってきた。

学校から家に帰り、暴力を受ける日々。

ただ、今日は違った。

その寄り道が、私に色を付けた。



その日は、私にとっては平凡で(回りから見たら非凡)。

至っていつも通りになるはずだった。

家の近くの公園で、私と同じような傷を持つ少年と出会った。

私が立ち止って相手をじっと見ていると、

少年は此方に気付きにこりと笑った。

・・・・上辺だけで。

私は、相手の表情と、なんとなく解る雰囲気で

相手の内面の色がなんとなくわかる。

これも、長年父の表情を窺ってきたから成せる技だ。

私はこの少年は駄目だと思った。

少年のヘドロが詰まったような内面は毒ガスのようで、

見ていてとても気持ちが悪かった。

・・・もういい、それよりも早く帰らねば・・・

そう思い、踏み出した一歩は・・・

・・・見事なまでに着地に失敗した。

急速に近づく地面。あ、これは駄目だと次の衝撃に備え身構え・・・

・・・次の衝撃は、来なかった。

「・・・・・・・え、」

薄らと目を開く。見ると不健康そうな白い腕が私の体を支えていた。

「・・・・大丈夫?」

さっきの少年が、近くに、居た。


「・・・何で助けたの?」

私は、捻った脚を冷やしながら尋ねる。

「うーん・・・なんとなく、かな」

少年は爽やかに笑う。といっても、内面の色が解ってしまった私には、

特に意味を成さないが。

「・・・ふーん、そう。」

私は興味無さげにそう言い、「帰る」と言って立ち上がった。

「っあ、ちょっと待って!!」

すると少年が私を呼び止めた。

「・・・・・・・・・・・何」

私は少年に背を向けたまま言葉だけを返す。

「ボクの名前は、狛枝凪斗。キミの名前を教えてくれるかな・・・?」

「・・・水無月紫音。それを聞いて君はどうするの?」

「・・・別に。どうもしない・・・かな。」

「・・・あっそ。じゃあ帰る。助けてくれて有難う」

そう言って、今度こそ私は家に向かい歩き出した。








/ 10ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp