第1章 幼少期と日常
見た目14歳くらいの銀髪の子がとある建物の前に立っていた。
パッと見では女かと思われるが男である。
『此処が妖精の尻尾か…』
此処は魔導士ギルド【妖精の尻尾】。
仕事を探してる時大人に勧められたのがこのギルドだった。
少年は建物の中へ入って行った。
中には…まだ昼間だというのに酒を飲んでいる大人ばかり。
とても仕事をしているようには思えない。
しかし殆どの人から魔力を感じることから、やはり魔導士なのだと納得する。
此処は酒場として一般人も出入りしていると聞いた事を思い出した。
頭の中で思考を巡らせながら、ギルドマスターを探しながら奥へと進んでいく。
「お? 見ねぇ顔だな」
「新入りか?」
「結構美人じゃねぇか」
「将来が楽しみだねぇ~」
耳がいい少年は心の中で溜息を吐いた。
女のように、でも子供には見えない顔つき。
何度も何度も女と間違えられた過去がある。
面倒臭いと思うが顔には出さない。
奥にいる、カウンターに座って酒を飲んでいる老人がマスターだろうと思い、声をかける。
『あなたがこのギルドのマスターですか?』
老人は飲みかけの酒を飲み干して返事をした。
「(ゴクッ)うむ、ワシがマスターのマカロフじゃ ワシに何か用かのう?」
『はい。面接場所は何処ですか? ここに入りたいんですが』
「なんじゃ入りたかったんか だったら面接は必要ないぞ 入りたいとゆう意思があるんなら、拒まんぞ」
ニカッと笑いかけるマスターに少年もつられて笑みを浮かべた。
『ありがとうございます』
「そうじゃのう…お前さんの名前とどんな魔法を使うんか教えてくれんか?」
『はい、名はアギト・エリュシアン
魔法は【闇の滅竜魔法】を使います』
すると、周りが騒然とした。
「何じゃと!?」
「アイツも滅竜魔導士って事か!?」
「へ~、少しは出来そうだな」
「ナツ以外にもいたんだな!」
失われた魔法(ロストマジック)…その威力や術者への副作用から使用者が限られていき、利用が禁じられ、次第に失われていった魔法。
そのうちの一つが【滅竜魔法】である。
【滅竜魔法】は竜迎撃用の太古の魔法(エンシェント・スペル)。
使い手を滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)と呼ぶ。
故にとても珍しい魔法である。