第5章 さらば、もう一人の友よ
レギオンの姿が小さくなったのを見計らい、肩を竦めながら仕方なさげに息を吐くガジル。
「行くぞ、火竜(サラマンダー)」
「まーたお前と共闘かよ」
[おのれ小僧共!]
今度はナツ達に光線を放こうとドロマ・アニムの口を開く。
それを見たウェンディは身構える。
「援護します! 天を駆ける俊足なる風よ…"バーニア"!」
対象者の移動速度を上げる補助魔法"バーニア"をナツとガジルに発動する。
忽ち二人の体は軽くなり、ドロマ・アニムから放たれた光線も易々と回避して見せた。
「"火竜の鉄拳"!!」
「"鉄竜棍"!!」
[魔法を通さぬ筈のドロマ・アニムが微量とはいえ…ダメージを受けている!?]
ウィザードキャンセラーの効果を覆す程の二人の攻撃力に驚きに目を見開くファウスト。
しかし、それでもドロマ・アニムの強化装甲は固く、本当に微々たるダメージしか与えられない。
そんな様子を見、ウェンディは新たな補助魔法を発動した。
「天を斬り裂く剛腕なる力を…"アームズ"!」
「!」
「これは…」
「攻撃力強化の魔法です!」
「おっしゃあ!」
身体に満ち満ちてくる魔力に拳を握り直し、ナツとガジルはバーニアで上昇したままの速度で地を一気に蹴る。
たったそれだけの攻撃なのに、ドロマ・アニムの体が傾いた。
[くっ…あの小娘か…!]
ファウストは二人の援護をしているウェンディに狙いを定める。
[竜騎弾発射!]
「しまった! ウェンディが!」
「私なら大丈夫です、"バーニア"!」
ドロマ・アニムから発射された何十ものミサイル弾がウェンディに向かって一直線に突き進む。
それをウェンディは自分に"バーニア"を発動し、ミサイルを回避する。