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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第5章 さらば、もう一人の友よ


「(弓を射て脅すなりして何とか避難させるしかねぇかな…)」


深い溜息を吐き、仕方なさそうにゆっくりと弓を構えようとするルーク。


…と、


「…もう良いのです、ナディ」


突如広場に響く凛とした一つの声。
驚きに振り返り見れば、そこには煌びやかな装飾をした白毛のエクシード。
そしてその後ろに控える様に立つ四人の老いたエクシードが静かに佇んでいた。


「女王様ー!」

「「「ははー!」」」


その姿を確認するなり、一斉に深々と頭を下げて行くエクシード。

…そう、この白毛のエクシードこそがエクスタリア女王、シャゴットなのだ。


「女王様ー…!」

「…手間が省けたぜ」

「あの人が…女王…」

「…、…!」


急に静まり返った広場。

そんな中シャゴットは周りのエクシード達に語り掛け出した。


「…みなさん、どうかお顔を上げて下さい
 そして落ち着いて私の言葉をよく聞いてください」

「何で女王様がこんなところに…」

「きっとこれから凄い破壊の魔法を…」

「シッ…! 静かに」

「今…エクスタリアは滅亡の危機に瀕しています
 これはもはや抗えぬ運命…なので私は一つの決断をする事にしました」


その言葉を聞いた瞬間、エクシード達から上がったのは「遂に人間を滅ぼすのか!」などという喜びの声。
シャゴットは悲しみに顔を歪め、羽織っていた女王の証であるマントを静かに脱ぎ捨てた。


「え!?」

「な、何を…女王様!」

「真実を話しておかなければならないと言う決断です」

「、…!」


カシャンッと音を立て、煌びやかな装飾を一つずつ外していくシャゴット。
周りのエクシード達はただ唖然とそれを見つめている。



「私はただのエクシード 女王でもましてや神などではありません
 みなさんと同じエクシードなのです
 私には人間と闘う力などないのです」

「「…、」」

「隠していて本当に申し訳ありません…ウェンディさんとシャルルさんと言いましたね?
 貴方達にもごめんなさい…全部私のせいです
 どうか、此処にいるみなさんを恨まないでください
 ルーク、貴方も本当にごめんなさい」

「…、…」


頭を深々と下げるシャゴットに眉を寄せるルーク。




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