第5章 さらば、もう一人の友よ
クロスは俺の手を引いて走った。
『ちょ、おい! 何処行くんだよ!?』
『逃げるんだよ!』
『みんなを置いてんな事…』
『いいから!』
「逃がすなー!!」
『チッ』
クロスは煙玉みたいなのを投げて兵の目を眩ました。
その隙に逃げ切ったが、まだ走り続ける。
『離せクロス!』
『今お前の手を放したら助けに行くつもりだろ』
『当たり前だ! 仲間だぞ!? 早く助け…』
『いい加減にしろ!!』
『っ、』
立ち止って俺の胸倉を掴んだ。
『お前が捕まったら誰がみんなを助けるんだよ!
それだけじゃねぇ…お前は捕まるワケにはいかねぇんだよ!』
『ど、どーゆー事だよ…』