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闇の滅竜魔導士と盗魔眼

第3章 折り重なる再開


「アギト」

『ん?』

「抱き締めてくれよ ガキの頃よくしてたろ?」

『そーだな』


アギトは俺の背中に手を回してソファーに寝転んだ。
お互い抱き合うように向き合えば二人並んで寝転んでも大丈夫だった。


『ガキの頃に戻ったみたいだな』

「わかる」


ガキの頃俺が植え付けた知識だから従順に従う。
挨拶として額にキスする事だって、こうして抱き合いながら寝転ぶ事だって、全て俺だけの特権だ。


『いっそこのまま寝る?』

「ソファーでか?」

『ベッド行く?』

「いいのか? 寝るだけで終わらないかもしれないぞ」

『んな所で手ぇ出すワケねぇだろ
 いつ呼び出されるかわからねぇのに』

「それもそうだな」


少し名残惜しいが腕を放し、プライベートルームのベッドへ向かった。
この移動の少しの間だけだけでもアギトの腕が離れているのが気に入らない俺は相当だと思う。
反省するつもりも直すつもりもないがな。


『おやすみ、ジェラール』

「おやすみ、アギト」


ベッドに寝転んだ俺達は恋人のようにお互いの額にキスをした。
そう…こんなに近い存在だが、俺達は恋人ではない。

だが…それは今だけだ。

誰にも渡してやるものか。
アギトは俺だけのものだ。
そう心の中で言いながら瞼を閉じた。



だが運命は…残酷だった。





この時の俺は…


これから先、俺とアギトに幾つもの困難が待ち受けていたなんて


考えもしなかった


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